ちらちら、ちらちらと光が溢れてるんですね。
どこに来たんですかね?
気づいたら、ここに立ってました。

あれは、東京タワー・・・

あ、あれ?ろ、六本木だ。

何が起こったんですか?なして俺はここにいるんすか?
しかも綺麗な街・・・

何もかもが紗のかかった映像のようになってますよ。

唸りやら、咳きこみでうるさい車達が信号停止で静かになった瞬間でした。

「あなたが欲しいものはなに?」

振りかえると、腰から下ぐらいのところに女の子。

その瞬間、さらに俺の耳から世界の音が消えた。

「あ・・・」

あの子だ。カバの時の子だ。

「ど、どひぇ~~~~~~~~!」

や、やべえ!
又、カバがくるっ????
俺はとっさに逃げの体制に身構えた!
辺りをグルグル見回した!

い、いない?
お砂場もない・・ぞ?

彼女は言う。
「今日は大丈夫。あなたが欲しいものはなに?」

「だ、大丈夫?か、カバは来ないの?」
「来ないよ。」

ニコっと笑った。そりゃあ、愛くるしい顔で。

「で、なんで座敷わらしみたいなカッコしてんの?」

「え?」
「そのカッコ・・・」

「え?」
「いや、だから、髪型といい、和服といい、下駄といい・・・。」

「え?」彼女
「え?」俺

「え?」彼女
「・・・え?」俺

「ん?」超可愛くニコっと彼女
「へ?」俺

「え?」彼女
「・・・」俺

「はい?」彼女
「・・・ごまかしてる、もしかして?」

「・・・」
「なんか自分でも変だとは思ってんだ・・・。」

「・・・」
「・・・。まあ、いいか。で、なんだっけ?」

彼女は少し息をのんだ感じで姿勢を正したです。
「だから、欲しいものはなに?」
「別に。」

「・・・。なんにも?」
「ん~・・・。特に思いつかない。」

うなだれたみたいに座敷わらしは言う。
「欲無さ過ぎじゃないの、それじゃ、今時?」
「そのカッコで『今時』とか言われてもなあ。てか、見かけの年齢がしゃべるセリフじゃなくない?」
俺は少女の上から下までじろじろ眺めた。

「女は年齢じゃないの!」
「女・・・(- -;)説得力とかの問題じゃないよな・・・。なんか、気持ちよく聞き捨てできそうな勢いだな。」

「ちょっと、あんたねっ!ドンッ
「はい!」

いきなしこえ~。ちょっと飛びあがっちゃった。

「欲しいの、欲しくないの?」
「だから、何が!」
「知らないよ!聞いてんのはあたし!」


そうだった、そうだった。とはいえ、

「何が欲しけりゃいんだよ!」

「だから、聞いてんのあたしでしょ!?いい加減にしないと、カバ呼ぶよ!
「うわっ!それは待った、待った!こらえろ!考えるから!あせる

「考えて出すもんじゃないでしょ!?」
「なんなんだよ!じゃあ、ね~よ、なんにも!考えてないの、普段そんなこと!」

「そんなわけないでしょ!?あんた、人間なんだからさ!」
「そりゃあ、意味分かりすぎるけど、欲しいものがあったらなんなんだよ!くれんのかよ!」

「そんなこと聞いてみなきゃわかんないでしょ!」
「分別されんのかよ!」

「当たり前でしょ!言ってからの出たとこ勝負よ!」

「じゃ、やっぱ考えなきゃいけね~じゃね~かよ。
矛盾だよ、矛盾。
た・て・ほ・こ!
分かる?おまえ、そんなんでよく妖怪やってんな?」

『たてほこ』くらい知ってる!それに妖怪じゃない!
「じゃ、なんだよ、そのカッコ!!?座敷わらしみたいじゃね~かよ。」

「カッコはそうかもしれないけど、あたしは違うの!」

カッコが妖怪なら妖怪だろ!
大体にしてどこからともなく出現と思ったら、いきなり
『なんかいらない~?ドキドキ?』
って、新大久保かどっかの立ちんぼかよ、おまえは!

そおおおおんなヤラシイ訊き方してないっ!すけべ!」

「おまけにみろよ、世界が止まってんじゃん!こんなの、魔法使いか妖怪にしかできないだろ。みわあきひろだって不可能だよ!」

「『みわ』も『たんば』もないの!
『えはら』はもっとないっ!
てか、あんた喧嘩売ってんの!?」

「逆だろ!こっちは買ってんだよ!」

「あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝~~~~!ストレートにむかつくっ!」
「おせ~よ、むかつくのが!」


突然座敷わらしがおとなしくなった。

「・・・・」
「おい。」

「呼ぶ・・・・」
「へ?」

俺の呼吸が止まった。

「呼じゃうもん・・・メラメラ


「あ、いや、・・・や、やめて・・・あせる

「カバ~~~~!」

少女はオオカミ少年ケンを呼ぶみたいにさけんだ。

「うわ~~~、ちょっと待った、待った。言う。言うよ!あせる
「カバ~~~~!」

ターザンかよ!

「うわ~~~~やめれ~~~~!欲しい!欲しい!今欲しいのは
金の斧銀の斧おおおおぉぉぉぉ!」

ずぐぉぐぉお~~~~~~~ん!

突然、背後に地響き。

恐る恐る振り返ると・・・カバじゃなかった。
東京タワーの目の前に交差して突き刺さった金の斧と銀の斧。
しかも、双頭。
時代も国もめちゃくちゃ・・・

「・・・。」

まぶたと口がふさがらなった。

「な・・・」

再度振りかえると既に座敷わらしはいなかった。

*            *            *

あれから一年、斧はパリの凱旋門のように、東京タワーよりも有名な観光オブジェになった。
最近は鳩の糞でいい具合に汚れてる。
部屋で「ほけら~・・・」とテレビをみていた俺は思いました。

「これって、嫁さん、とか言ったら、どうなってたんだろ・・・。ガリバーの娘みたいなのが出てきたんかな・・・」

タバコの煙はゆらりと尾を引いて窓へ流れていく。
もう、春が始まってるんだなあ・・・

「普通の人間出すに決まってんじゃん。」

「※☆@ピぎょHE!? /(@o@/あせる ????」

とびすさった目の前に座敷わらしがいた。





前略 おふくろ様

なんか住みつきました。
けど、貧乏は変わりません。




J's Coffee Break Station-斧

はい、どんとはれ。


※参考:「カバが・・・」(2009年6月20日)