~~~~~~♪
なんか、小さな虫の鳴き声みたいな歌声が聞こえる。
~~~~~♪
一時雨に雨宿りしたこの木だ。
みると、木の幹が抜け落ちたところに、キツツキが掘ったみたいな穴があって、そこから聴こえる。
覗くと、ちっちゃい、白いなんかが座ってる。
楽しそうに歌ってる。
「何してんの?」
「雨宿り♪」
「なにもの?」
「観音♪」
「・・・」
腑に落ちなかった。
「観音?」
「うん、観音♪」
「・・・。地蔵では、決してない?」
「うん、観音♪」
「なして、こんなとこにいるの?」
「修行♪」
「・・・」
宗厳さのかけらもないこいつは自分を「観音」だという。
解脱したのか?
どうやって?
修行した?
どんな?
「ねえ、観音ってさ、仏様なんだよね?」
「うん♪」
「その『よだれかけ』、あきらかに地蔵だよね?」
一応、奴は自分の首にかかる真っ赤な『よだれかけ』を観た。
「ううん。観音なんだよ。」
奴はもう一度俺を見上げると必死に首を振りながら否定した。
「いや、気づいてないのか、思いこもうとしてんのか知らないけど、お前さん、地蔵だよ。」
「違うよ。」
「い~や、違くない。勘違いしてるって、自分でさ。」
「違うよ。違うよ。」
「違くないよ。違くないよ。:( ̄∀ ̄)」
くくく。なんか面白くなってきた。
「違うよ、違うよ、違うよ!」
奴はだんだん泣きそうになってきた。
なもんで、こっちも意地悪そうに泣き真似しながら言ってやった。
「違くないよ、違くないよ、違くないよ~!( ̄∀ ̄)」
ついに奴は泣きだした。
「違う!違う!違う!違う!」
「違くない!違くない!違くない!違くない!!( ̄∀ ̄)」」
あははははは。
面白れ~~。
こいつ、勘違いしてんだろうけど、おんもしれ~わ。
だけどさ、それよりも、ちょっとやばいことに気づいた。
相手が本当に観音だろうが、地蔵だろうがそっち系であることは見るからに間違いないよな。
そんで、俺は絶対、こいつのこと小馬鹿にしてるんだよな。
てことは…どっち道、なんかの罰あたりは免れなくないか?
ん~…これはまずいか?
どんな罰だ?
たたり?
転生したら、虫ケラになってる?
いや、その前に苦しみながら現世を生き続ける羽目になる?
死んだら魂はどうなるの?
どっかの岩場にとじこめられたりして。
ほんでもって、縛り付けられてんの。
俺は必死で叫んでるんだ。
「なんで、俺が~~~~!(/TДT)/」
「自業自得よ!愚か者目が!(`Δ´)」
とかいって閻魔さまか誰かが(誰かって誰だよ)
「鞭打ち100万回の刑~!」
つって
「ひえ~~~~~。ごめんなさい~~~!」
「ならん、ならん~~!」
ビシ~~っ、バシ~~~っ
「おおお!のおおお!ぐおおおお!」
とかって10回位やられた辺りに、な、な、な、なんと助け船だぞおお????
「お待ちください!(゙ `-´)/」
つって、妙に艶めかしい白い薄手の布だけはおった天女みたいな飛びっきりの美女が岩柱の陰から登場だあ~っ!
「これはあってはならないことです!」
来た、来た、来た~!
「邪魔立てするな弁天!」
なにょ~~~?
うぴょ~。弁天だぜ、弁天!どーりで色っぺーわけだよ!
「私のこの羽衣に免じて、お許しなるわけにはいきませんか?
これ以上は私たちの歴史に傷をつけることになります。
それとも、又あの過去を繰り返すおつもりですか?
ならば、私も手加減はしませんよ!」
何があった?羽衣になにが隠されてんだ?
あの綺麗な素敵なお肌以外に、まだなんかかくされてんのかあああ?
あはははo(*^▽^*)o。
いや、いや、それどころじゃないのだった。
手加減しないって、戦争か?やばくね~か、それ?
俺はなんのカギなんだ?なんで助ける?
惚れたか?
そりゃ、ないか、はは(⌒∇⌒;)ゞ
まあ、どうでもいいや、そんなこと。
で、
どうするよ、どうするよ?(・ω・;|||
「うぬううう…。」
つって、鞭打ち男はやむなく手を引いて、俺を解放するんだ。
おお…、すげえ~。
弁天、強ええ…∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
解放された俺は何がなんだかわからん間に目の前で世界が暗くなった。
そう、クラっと倒れた。
するとだ!
ふわ~って飛んできて、倒れ切る前に抱きすくめる弁天様アああああ~
ん~、いいに・ほ・い♪(///∇//)
そして彼女は俺を励ますんだ。
「しっかり!」
「は・・・はひ・・・」
って、できっかよ~、こんな状態でえ~。
もう、くらくらよクラクラ。
くらくらクララ
クララだハイジだ
レイホフレイホフレ~イ~ホ~♪
あはははは。
もう天国う~♪
そして彼女の胸の中に気絶していく~~~~~~~
ほれへへえええ♪
はれへええええ♪
えへえへえへ
もう、世の中なんて終ってしまえ~~~
(ノ´▽`)ノ♪
えへえへえへ
やがて彼女は子守唄のように唄い出す。
俺の傷を癒すように唄い出す。
か細い声で。そう、どこかで聴いたようなあの声で…
~~~~~~♪
そう、どっかで聴いた…
あん?
~~~~~~♪
「なんだよ、地蔵の声かよ。」
ん~…
正気に戻っちまった。
どうやら、相当な時間、耽ったな、こりゃ。
久しぶりにやっちまった。
『青い木馬』のデュークロッサン以来だな。
「はあ…。」
相変わらず、小っちゃい奴は楽しそうに唄ってる。
自分がアホらしくなった。
勘違いもはなはだしい。
「ところで、地蔵さ。」
「観音。」
はい、どんとはれ。