炎天下の渋谷。
猛暑というより射す暑さ。


ひえええええ・・・


痛い・・・

うだる・・・


街中の色んなものが反射して、それでなくても眩しいのに、余計に目がくらむこともしょっちゅう。
人ごみは苦手だな。

でもこんな中、交差点に立ってると、瞬間、音が消えることがあります。

そして・・・





サラサラサラ・・・






ゆっくりと時間が流れていく音がします。






サラサラサラ・・・






ゆっくりと、ゆっくりと。

街角でこんな時があります。今日もそうでした。
人は山ほど、売るほどごみのようにいるのに。
車の往来が激しい信号なのに。
世界がスローモーションになります。







サラサラサラ・・・








音に酔いしれていた時です。




「喝あっ!」


「@o@あせる/ ☆◎み△Ε※っ!?」




・・・



あ~~~、おどれ~た~・・・汗



誰かが、叫んでいった?


女?男?電子ボイス?高音?低音?人の声?????


見渡したけど、往来の人たちは何もなかったみたいだな。
誰あ~れも、驚いてないぞ。


ふ、と向こうを見ると、交差点を渡る人の頭がゴミゴミ流れていく中に、でかい青い花が浮いてるのが見えました。


「なんだ、ありゃ?」


誰かがかぶってるんかいな?
バルモン(デジモンのキャラクター)みてーだな?
あっちは、トロピカルな花だ。
けど、こっちのあの花弁・・・どっかで・・・


ぼーっと見つめてると、




「喝あっ!」


「ぶげっ?」





今度は逆の耳側でやられた。

みると、やっぱり花が歩いてく。


「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」



連続でやられた。

もう、耳が


きいいいいいいいいいいいん・・・・て。


そのたびに花が歩いてく。
そのたんびに


「ひ!?」

「おわっ!?」

「ほぎゃ!?」


ておれもバカ。

全っ然、慣れないの。


その後何度も何度も。


誰かが頭に載せて歩いてるんか?


俺の友達、デパートなんかでアンパンマンやってんですよ。

(あ、悟空もやってます。関係ないスけどね(^▽^;))
あの着ぐるみ作る現場にしばらくいたことあるんすけど(これも関係ないスけどね(^▽^;))、あんなんスかねえ。


帽子紐みたいなの、顎にくくりつけてんスよ、きっと。
こんの暑っっっっついのに?

紐のとこが汗疹で赤くなるでしょっ!

やめなさい!意味無いから!


しかも集団ださ、集団っ!


う・・・うわ・・・


どんどん、増えてく。増えてくで~~~。


みんなして

「喝あっ!」
「喝あっ!」

って。


街の人達は気付かない?
それとも知って知らない振り?


え?え?


どんどん、青くて、でかい、でかい花達がワラワラ、ワラワラ。


お、おろ?おろ?

みんな・・・通り抜けてく・・・

つまりは・・・


見えてない?


ちゅか、なんだか、最初から胴体が見えてなかったような気もするんだけど?


ついに一帯が真っ青なお花畑になりましたス。


どえええええ?

なんてこっちゃ!なんてこっちゃ!

渋谷が浸食されてくで~~~~~!

いんか?いんか?こんなんでいんか帝国!?

                                        ↑無視してください・・・


しかも、花ごときに~~~?


花だよ?花っ!


花・・・


花・・・



・・・




「あ・・・あれ・・・?」


束で、山盛りになった時、やっと気づいたんです。



「・・・紫陽花・・・。青紫陽花だ・・・」




Jの実家の庭にはでっかい花弁をつける青紫陽花が咲くんス。
そのブロックだけは超でっかいんです。

他のブロックはみんな普通の大きさなんすよ?


あれだ・・・。


なんで?



あ・・・

思い出した・・・



あれは昔俺が買った花だ。


母の日に送ったんだ。

梅雨時になると訊いたもんです。


「紫陽花咲いてっか?」

「うん、お前の紫陽花は今年も大きいの咲かせたよ。いっぱいだ。」

「そか・・・。強い花だな、ありゃ。母の日セットなのにな(笑)」

「ああ、強いよ。」




俺の紫陽花だったんだ。



若いころは、天皇陛下でも、大統領でも、ウルトラマンでもなれる気がしてたスよね(^^;)。


それが、いつからか自分の中の小ささにだけ気を取られるようになった。
ちっぽけな自分を思い知らされた時、人は弱さを身につけてしまう。
そんな気がするス。


あの青紫陽花は花言葉なんかとは全然関係なく、ただ強い。


そうなんだ。
強けりゃいい。

強けりゃいいんだ。
例え弱くっても、強けりゃいいんだ。

弱いんだから休めばいい。
休んだなら、その分走ればいい。
どうせペース配分が下手なくらいに弱いんだ。
でも、疲れて休んでる間、筋肉は補強を始めてそこだけは強くなれるんだ。

だから、又始められる。

人なんて、動物なんて、生き物なんて、意識とは無関係に本当に死ぬ寸前まで、コンマゼロゼロ数秒までアラームをけたたましく出し続けて、臨界点目前でも尚生きようとするものなのに。

あきらめてんのは意識だけだ。

メカニズムは絶対あきらめない。本当に最後の最後まであがき続ける。

そういうメカニズムなんだ。

知ってたはずなのに。

そんな簡単なこと、気づいてたはずなのに・・・。






青紫陽花が、


ぽつ、ぽつ・・・


と消え出したス。





最後のひとつが消えた時、一瞬無音の後、堰を切ったように街は喧騒を取り戻しました。





え、と。

何しようとしてたんだっけ?

あ、そうだ、そうだ。
なんだかわかんないけどブラブラ歩いてたんだ(笑)


帰ろ♪
シャワーでもさくっと浴びちゃって、久々に一曲作ってみっか。


ライブの準備をはじめなくっちゃ。

人気ないからいつもと変わらず数人のお客さん。

けれど、聴いてもらうんだ♪


ね。

J’s Coffee Break Station-青紫陽花

はい、どんとはれ。





次のブログを書けそうす。

ほんっと、ありがとうした。

休んでる間、気にかけていただいて、みなさん、ほんっとすんませんした。

感謝す。


いきなし、どががががががっ!


は、ないんすけど・・・・


最近、写真もストックないんで、撮ってきやす。


そーいや、六本木でライブ一本入れてきやしたぜ。


ぴ・・・ピアノ、すっかりさぼってたから練習しねと、あがんです。


先日、上野のとあるお店で少しだけ歌ってきたすけどね、

ピッチが、ピッチが・・・・(泣)


スナップが、スナップが・・・(号泣)


コードがコードが・・・(爆泣)

ひ~~~ん、俺のばかああああ((/TДT)/)


( ̄▽+ ̄*) ああああははははははは


なんで、又、もちもちの木ばなしを再開しますんで、お暇な方だけで結構ですから、さくっって、見てやっておくんなさいましドキドキ


ほんとにみなさん、ありがとうございました。


ハイジは今日も元気です♪

親友へ

おまえはほんとに馬鹿だよなあ。
記憶力悪いわ、空回りするわ、背が小さいし足が長くね~から、ぴょこぴょこ歩くわ。

どこに行ってもビール、ビール、ビールっ。
カクテルバーに行ってもビール、ビール、ビールっ。
ビール以外の飲み物はお茶しか知らないし。

「もうお前の撮影は手伝わねぇ」って怒ってんのに電話して来るし。
結局行っちゃう俺も俺だけど・・・。

要領悪いし。
この前だって、ちょっと誰かに頼みゃいいのに、重てえクレーンと数キロの重りを引きずって
「今、借りてきたんだよ。」って汗だくでニコニコ改札から出てきやがる。
「ずっと引きずって来たの?電車で?おまえ、馬鹿?そんなんで届け物しなくていいんだよ。」
「まあ、まあ」とか言って引きずりながらドトール入る。
いきなりシナリオ手渡して次の撮影への想いを、とめどなくしゃべり始める。
そんなに撮れねえよ!

絵コンテは下手だわ、食い方は汚えわ。

裏表の使い方を知らねえわ、腹黒いってことを知らねえわ。
幼稚園児みてえに純真過ぎるわ、他人を悪く受け取ることを知らねえわ。

挙句に「俺になんかあったら続きを頼む。」
とか冗談で言ってんじゃねえよ!


ほんっと一言「馬鹿」
最悪に馬鹿!


死に様も馬鹿。


「これが一生で最後のお願いだから。」
とか泣きそうに頼んでんじゃねえよ!
ていうか、本当にそうなってんじゃねえよ!
逝く前日にそんな電話してくんじゃねえよ!


警察に駆け込んだ時、おめえ、遺体安置室で寝てやがったたろ。
「もう二度と起きねえ」ってくらい目えしっかり閉じやがってさ。
俺たちが血相変えてんの見て
「なに?なに?何がおこったの?」くらいにして、まあた、すっとんきょうな顔して訊いてくんじゃねえかってくらい現実感なくって。

おまえのその顔みると、自分が悩んでんのがアホらしくなってきたもんだった。


200を超える人たちが集まった中、あの白い箱のなかから起きあがって、
「え?今日はなんのイベント?すごいひとの数だねえ・・・。誰かの葬式?」
て、あの顔で出てくんじゃねえかって、全員思ってた。
そうしたら200人が突っ込んだだろうな。

「おめえだよっ!」

ってな。




朝8:30。

あの日撮影現場に俺一人しかいなくって、スタッフもキャストも連絡とれねえって。
お前ん家の電話番号知ってんの、偶然俺だけだったから・・・。
そしたら奥さんが出て、前の晩のことを知らされた。

それが起きたのは会社のビルで17:00頃。病院で事きれたのは19:00頃。
全身打撲負傷。

他にもいるたくさんのお前の親友の一人と奥さんと待ち合わせて警察に飛び込んだ時、既に12時間経過してたんだ。
やがて、御家族もいらっしゃった。最近、お前がよく信頼してた友人も駆け付けてくれて。
後はこの友人3人で大量の電話連絡。

そのほかmixiで訃報知らせてくれた人。連絡網のキーステーションになってくれた人。
沢山の人たちがエマージェンシーで動いてくれた。
その間3人は散ってお前の旅立ちの準備だった。

ほんっとに迷惑!

何で、俺がお前の遺影作ってんだよ!
何で俺がお前の供花のBGM、徹夜で作らされてんだよ!
お前の作品のサントラだから、1曲取り込む度に涙が溢れてくんだろうがよっ!
とまんね~んだよっ!
頭来るったら無え~よ、ったく。


やっぱり、ほんと迷惑!

勝手に人の人生からいなくなってんじゃね~よ!
お前はいいよ、ただ見てるだけだろうからさ。
思い出抱えて生きてくのはこっちなんだよっ!
風穴開けて逃げてくんじゃね~よ!

お袋の次はお前かよ!

はっきりいって、親友はお前ひとりじゃね~よ、そりゃあさ。
でも、それが一人減ったら、その分空き地が出来ちまうだろうがよ!
大事なもんは失くしちまったら、いくつあったって大切も大事もなくなんだよっ、アホたりんがっ!
生きてるから、存在してるから大切にも、大事にもできるんだよ。
お前は言うんだ。
「ごめん、ごめん。そんなつもりは間違いなくないんだよ。」って。
そうだろうとも、そうだろうとも。それがお前だよ。知ってるよ。



2009年7月10日に起こったこと。


どんな風に落ちたのかなあ。
落ちる間に、お前はどんな風景を見たんだろうな・・・。
瞬間にどんな想いが駆け巡ったんだろうな・・・。


自発的、事故。50/50。

どっちだったんだよ。

「ん~・・・わからん。神ちゃん決めてっ。」

とか絶対言うんだよ。


本当のことはお前しかわからない。後は全て邪推でしかない。
とにかくお前は5階の高さから落ちて死んでその葬儀が行われた。
それが事実。事実はそれだけ。
そして俺たちは泣いた。
お前の悪口を口々に騒いで泣いた。
事実はそれだけだ。



美しい風景を撮る以外に撮影能力なかったけど、風景だけは多分、世界で一番。
少なくとも俺達のまわりで右に出る奴はいなかった。


取り残した数シーン。
アマチュアの強豪達が完成させようって言ってくれてる。
お前のケツ拭い、みんなが二つ返事で手伝ってくれる。


少しだけ時間をくれ。

この数カ月の間に本当に身近で大切な人が3人も俺の傍から離れていったんだ。
一人取り残されていくような気持ちになって当たり前だろ?
離れていった奴が「君は一人じゃない」なんて勝手なこと偉そうに言うなよ。

置いてかれた方の気持ちがなんでわかんね~んだよ!


でもいいよ。


だから整理する時間をくれ。


お前への最後のケツ拭いなんだ。
何度もやってきたことだけど、最後かと思うと、踏ん切りがつかない。



沢山の人達に愛されて逝った。
少なくとも、お前の最後に駆け付けることに異論のない人たちがこれだけ周りにいた。



そして・・・すまん。
お前が骨と粉屑になった姿を見るのはできなかった。
お前の骨なんか拾えなかった。
これだけは許してくれないか。

どうしてもできなかったよ。



ビールを買ってきたよ。


今、俺に出来ること。

それは、とにかく一生懸命に、ただ一生懸命に生きたおまえを思い出して、もう一度泣きながらビールを飲むことさ。


多分、もう二度と会えないお前に。


献杯。




※このお話は親友の49日が過ぎたら削除します。


カバの続きじゃないけど・・・


今日もいました。

仕事場の喫煙所に。

なんかね、近くに来ると、わざわざ顔をそむける、と言うか、そのそむけ方がなんというか・・・


偶然目が合う時ってあるじゃないですか?

最初の時ですよ。

お互いタバコ吸ってますから、距離があれば余計ですよね。

別に何の気もないですよ。

目があったんです。

気のせいと納得してるんすけど・・・


彼女、こっちを


にらんでたんです。


なんすか、なんすか~汗叫び!?


え?え?

と思って、なんか、当然、相手の目を見ちゃうじゃないすか。


次の瞬間!



んーーーーん、ベリっ☆


って視線を引っぺがされた(笑)


「あんたになんか興味ないから!」

的に、俺の存在を全身で否定されました。

てか、やっぱ、話したこともないすよ、その娘とも(笑)

初対面ですもん。


てか、

なんでにらんでるすか?


社員数多いですから、綺麗な方も結構いらっしゃいますよ。

彼女もその一人ではありますけど、その時まで存在知らなかったんすよ、俺。

ちょっとキツ目の顔立ちなんで、睨まれてるとき、怖えかった・・・ガーン


それから、何度か似たようなことがありました。


間違いねえ。


間違いねえだよ


やっぱ、俺をにらんでるだよ。


で、また、


ベリっ☆


なはは・・・(^^;)


ま、そうゆーの慣れてるんで(笑)




ちょっと悪戯っけで、彼女(だけじゃないです。その手の人たち)がいると、わざわざ傍に寄ったりするんですけどね。

(1m以内に近寄りません!)

これ、結構面白い。

俺の存在と灰皿スタンドに挟まれて、行き場を失うんですよね。


動けないの(爆)


あ、これのせいか、嫌われてんの(°0°)_o ぽん


違います、違います(^^;)。


誤解です。


こんなことする前からです。

これは単なる自分ウケのいたずらです。


ほぼ毎日顔合わせてたんですよ。

そりゃそうだ。喫煙所一個ですからね。


でも、かわいそうかな、と思って、時間ずらしが成功したんで、しめしめ、しばらく見てなかったんですよ。

そして、今日、「しめしめ」の時間にいったら、いやがった・・・


やられました。


全身否定。



わざわざ時間ずらしてんだからよお・・・0| ̄Z


もう仕方ない、知るか!

て、気にせずゆっくり吸ってやりましたよ。へへへ。


は、ざまあみろ!

ぷかああ・・・ぷかああ・・ ( - -)v-oooo

あ~、うめえ~、うめ~。

タバコが超うめ~♪


ふん( ̄^ ̄)v-oO○


俺は悪くないもんね!



部屋に帰ると、たまたまピアノの上で休憩してた魔女のばあちゃんにお願いしました。


「訳知らずに嫌われんのは問題ないんだけど、せめて、全身否定されない魔法かけとくれ。」


そしたら、なんと非情な・・・



「そんな魔法はねえっ!」



J’s Coffee Break Station-まじょ


い~~~っひっひっひっひっひ~~~♪

つって全否定して逃げてきました。




あんたもか!



なんてね。


そらそうだ(笑)



はい、どんとはれ。



画像はVAIOマジックでした。

んがごおおおおおおお・・・・!


咆哮が夜空に轟きました。


「びしぇええええええっ!」


涙と鼻水と涎を噴出しながら腰を抜かしそうになって俺はに逃げ出しました。

だって、突然なんだもの(泣)

いきなり、お砂場のカバのモビールが巨大化すんですもの(泣)

夜の散歩で、公園で、体が半分砂に埋まってて、大口あけたカバだったんですよ?

別に何もしてないですよ?

ただ見てただけですよ?

ちょっと耳に触ってみたんですよ。


その数秒後でした。



ずずん・・・



て地震かと思ったんですよね。

そしたらいきなり


ずもおおおおおおおおぅっ


て巨大化して。

でっかく上下に開いた口からは砂を牛乳みたいに


んばあああああああ


って流しながら立ち上がったんです。

そして


どずん、どずん!


て・・・こっちへ向かってくるじゃないですか~~~!

そら逃げますよ。

俺、コケましたよ。

そしたら巨体な影がコケて倒れた俺の全身に覆さってくるじゃないですか~~~~!

足の裏が迫ってきた。


ほんがあああああああ!


咆哮が轟きます。


「つ~ぶされるうううう。」


ところがカバは俺の上を通り過ぎていきました。

あれ?俺が襲われたわけじゃないんだ?

た、助かったのか?


どずん、どずん、


ぴた。


足音がやみました。

見ると、ちょっと向こうにカバのケツ。

尻尾がぷるん、ぷるん動いてます。

そのケツから横顔が半分、こっちを覗いてます。


ど・・・・・・ずん

ど・・・・・・ずん


あ・・・全部でこっちを向いた!

目、目があっちゃった・・


ずぁさ、ずぁさっ


って後ろ足で砂を蹴散らして、首を振ってるじゃないですか!

おまえはサイかよ~~~。

お、お、お?走り出しましたよ!?


どず、どず、どず、どず


しかも、さっきより早ええ!

俺に向かってくる。間違いねえ!狙いは俺だ!

なんだよ、なんだよ、なんなだよおおお! 俺がなにしたんだよお!


どず、どず、どずどず


ひええええええ!


なんだか知らないけど、俺が悪かったあああ!

許してくれえええ!



その時、天空に流れたクワイア音譜

少女ドキドキが現れ、俺とカバの間に立ちはだかったのです。


きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


急ブレーキをかけたカバ。


あっけに取られてみていると少女はカバの足元に行くと、つま先に頬を寄せて囁きました。


「お鎮まりください。大魔神様。」


大魔神だったのぉビックリマークはてなマーク


カバじゃないの?

しかもいつから大魔神?

そんな昔から日本にカバはいないよ?

何より、埴輪じゃないじゃん?


いきなり少女は歌いはじめました。


「め~~んな~~い~~、ちどおおり~は~♪」


なんだ、それ・・・ 汗

効果あんの?

島倉千代子が効果あんのか?


そらあ、確かに

もすら~や、もす~~ら~♪

とか歌われても同じ反応だけどさあ。あれ、双子の歌だし。

だとしても、もっとお祈り的な境界から逸脱してるんでは?

で、少女、いつ生まれたの?何歳なの?


少女をじっと見ていたカバは咆哮を一つ上げると、


ずずん・・・


と座り込んだんです。あんがいあっさりと。


・・・ゆ、有効?


歌ならなんでもよかったのかな・・・

と・・・とにかく助かった?


やがて少女の流した一粒の涙がカバの足元に落ちました。

その波紋がつま先からカバの体中へ広がり切った頃、カバは最後に一咆哮を上げると


しゅわーーーー


と音を立てて、元の砂場のモビールに返っていきました。



全てが静寂化した砂場に立ち尽くす俺と少女。


「なんで、俺が襲われたの?」

その問いに少女は答えられない様子でした。

「わからないんだ・・・。けど・・・怖かった・・・。」

二人はしばらくその場に無言で立っていました。




翌日、夕方。砂場へ行くと、あの少女も来ていました。

「やっぱり心配で・・・。」

そういう彼女は微笑んでいました。

「俺も同じだよ。」

少女は優しくモビールをなでた。

涼しくない夏の夕風が砂塵を巻き上げる。

「もう、大丈夫。」

もう一度微笑んだ少女は、夕焼けにシルエットして、この世のものとは思えないほどに愛くるしいものでした。

「よかった。」

そっと、俺もカバの頭を撫でて、騒ぎの発端となった耳を触りました。

「もう、ごめんだ、あんな思いは。」




ずんん・・・




夕べの恐怖が脳裏に蘇るのは瞬時のことでした。


少女と顔を見合わせました。


ずずん・・・


「あれって・・・。」と俺。

「・・・うん。」と少女。


ずざざざざざあああああああ。

ど~~~~ん!

んがごおおおおおおおお!


カバが又もや巨大化しましたんです、はい。



「◎△げ×み&#☆◇びょ□~~~!?」



又、腰を抜かしちまいました。


少女は俺の手をつかみ

「理由がわかった・・・。」

とささやいた。

「な、なに?なにが理由なの!?」


「彼、あなたが嫌いみたい・・・。」


「へ?」



ど・・ずんんん!



振動で二人はピョコンて飛び上がりました。



「その訳はわからないの。ごめんなさい。とにかく逃げましょ。」


「どひえええええええ!

なんでえええええええ?」


ふぁごおおおおおおおお!


「ぶしぇええええええ!話せばわかる~~~。

頼む、話そうよおお!だ、だ、誰がちびるかよー!

ちびってたまっかよおおおお!

だあれか、た~すけてくれ~~~~~~~~!



んがあああああああああ・・・・




カバの咆哮と足音が今夜も月夜お月様に轟きました。


J’s Coffee Break Station-カバ


よくいますよね。
話したこともないのに、

「おまえ嫌いなんだよね。」な空気を広げて、みえすいた態度取るやつ。

カバ野郎め♪

↑これが言いたかっただけの愚痴物語でした。

はい、どんとはれ。

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21:00を過ぎたスカイレストラン。
ラウンドピアノが静かに窓外の光景をさりげなくドラマチックに仕立て上げる。
遠くに幾つも赤く航空障害灯が小さく遠い星の断末魔のように瞬く。
窓に移るテーブル。

この辺のレストランには珍しく、メープルリーフに折られたナプキンが二枚。
その片側に独り、自分の影しかない。
注文もせずにゴブレットグラスの水も減らない。
待ち合わせから20分過ぎても彼女は来ていない。
携帯も鳴らずに気に病むのは事故の知らせが届かなければと良いということ。

どうして自分から電話しようとしないのか。

ただ、怖かったのかもしれない。

この後、一人ここに取り残されていくことを、彼女の口から聞かされることが・・・。
ホールマネージャーが気を遣って、コーヒーを勧めてくれたが断った。
10分後、バッグを置いていくから見ていてくれるよう頼んで2度目の喫煙ルームへ向かった。
この一本を吸い終わったらもう帰ろう。
そう思いながら、一つ煙を吐き出す度に溜息に似た音がする。
薄くフロアから漏れていたラウンドピアノが止まり休憩に入った。
携帯のフロントディスプレイは22:07を表示している。
喫煙ルームを出てすぐに「チン」と鳴った。
エレベータの扉が開くとそこに君は立っていた。
グレーのスーツの上着を腕に掛けて、僕を見つけると小走りに寄って来る。

やっと、来たんだ。
来てくれた。

頭の中には「えいどりあ~ん」みたいな音楽が響き渡る!


少しこみ上げた嬉しさと安心と、けれど心配していたのは事実だった。
連絡もせずに待たせたことをまず怒らなければいけない。
口を開き掛けると先に君は言った。





そう、ここでカサブランカなドラマは終わりです。




「又、電話止まってるでしょ。」


「え?」


「払った?なんで自動引き落としにしないの?」



「まじ?」

「なんなの、もう。」


「止まってんの?」

「止まってんでしょ?じゃ電池?」
「電池はあるよ。時計みてるもん。」


インターネットに接続しようとすると真っ赤な表示。


"接続できません"。



「あ・・・。」

「はあ・・・。」


「ごめん・・・。」

「ユーザーがあきらめてくんなくて、一時間は確実に遅れるから、家を出るの少し待っててって・・・。

もう、いいよ。おなかすいた。なんか頼んだ?」
「いや、まだ・・・。」
「急いで来たからのど乾いたよ~。」


彼女はゴブレットグラスの水をゴブゴブ。

ビールじゃないんだけど・・・ヽ(´`ヾ。


やがて頼んでもいないハーフボトルのワインが運ばれてきました。
なんだ、なんだ?


ホールマネージャーの手から直接グラスへ流し込まれたんですな。
「こちらはサービスです。3年もので若いですが、今日の記念にどうぞ。」

かすかに僕に目配せをしたです


やばい。勘違いされてる・・・。



きっと、今、レストランのスタッフの間で、このテーブルは、崩れると思われた恋が成就したシーンなんだ。


どうしよ・・・。訂正できない。

でもボーイさん、



カクいい・・・(TーT)



どうやら、この空間は何かのドラマみたいに進んでるみたいだす。

これはこれで、なんかどころか、完璧きまずい・・・。


「なに?どうしたの?何の記念?」
「いや・・・。まあ、サービスだって言うからいんじゃない?」


注文したコースはあまり待たせずにサラダから順に運ばれてきました。
白身魚のヴァブールが出る頃には彼女は随分ワインを飲んでましたねえ。

怒られたり、笑わせたりしながら食事は進み、テーブルチェック。

「お支払いはカードでよろしいですか?」
「いや・・・。」
現金で、と言おうとしたらいきなり彼女。
「はい。お願いします。」
「なんで?」
「なんでじゃないよ。今日は出しとくから、電話、払ってよね。今夜の内に。」

「あ・・・はい・・・。」

「アメリカン・エクスプレスで。かしこまりました。暗証番号をどうぞ。」

そそくさと暗証番号打つ彼女。

電車まで彼女を送った帰り道。



げんなり・・・汗


なさけね~~。




部屋へ帰ると電話が鳴った。

彼女だ・・・。


「もしもし・・・。」

こえ~。
又、怒られんだ、きっと。あせる


ビク、ビク、ビク・・・


「もしもし。今日はありがとうね。ちょ~助かった!」

「・・・と。なに助けたんだっけ?」

「まあた、ま~た~。かっこいいなあ、もう。さすがだよね。瞬時にマクロを組む男!よ、SEの王様!」

「・・・。」


なにを言ってんだ?


「おかげで明日のプレゼンの準備ができた。バランスシート入力したら勝手に収支とグラフに出来るのがすごいよね。調整金もパーセンテージ与えておけば自動計算だし。これがプロって奴だよね。感動!ほれなおした!」


どうやら、俺がマクロを作って送ったらしい。



・・・いつの話をしてんだ?


「それより、悪かったな。こっちこそ。高かったろ?」
「なにが?え?お金取るの?彼女から?」
「何いってんだよ。今日の飯だよ。」
「ああ、約束破ってごめんね。そんな嫌味言わなくてもいいじゃん。今度おごるから。」


「!?」



なんか、突然、寒気が部屋に忍び込んだ気が・・・。

「今日、・・・来てないの?」

どうしてか、素直にそんな質問ができてしまいました。


「どこに?」
「待ち合わせ。」
「そりゃそうだよ。会社にいたんだもん。困ったこまったちゃんなもんで、ヘルプミー電話したら止まってるっぽいから、試しにPCメール入れたんださ。返事あってよかったよ~。」

「・・・。」

「Jくん?どしたん?」


今はPCメールを携帯に転送してないし、停まってたんじゃ・・・?


「・・・。そのマクロ、送ってくれる?」


「ん・・・ん。それが、プレゼン出来上がったら、操作ミスしたっぽい。消去されてて、メールもないのね。変だなあ・・・。」

「・・・。」

「もしもし?」

「あの、さ。クレジットカードってあるよね?」

「あるけど?JCBとVISA。」

「え?他には?」

「持ってないなあ。どしたの?」

「・・・」


時々ないですか?

いつも会っている相手が、違う人に思えること。
歪みが起きて、何かが交差したんですかね?
いつ入れ替わって、いつ戻ったのかはわかりませんが、同時刻にそれぞれがお互いの「違う人」をその人と思ってコミュニケーションしていたってことですかね。



翌日になると、なんだか、夕べの事があり得なくてバカバカしく思えました。
「あほくさ。なんか勘違いだ。夢だ。」
と彼女に電話しました。

「はいは~い。」
明るく電話に出る彼女。


おお、怒ってねえ。いがった~


「夕べのカードの件なんだけどさ・・・。」

「ああ、あたしのアメックス?あれが?」



「・・・。」



J’s Coffee Break Station


はい、どんとはれ。





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「もし、も~し」
見ると白い馬が呼んでいる。
風に揺れる立て髪。ゆるやかに触れる尾。
すっきりとした背中は太陽の光を受けて全体が光に輪郭を縁取られている。

「そこのあんたじゃよ。乗っていかんかね。」

目玉親父みたいな声で、腕相撲ゲームかと思いました。

「乗ってくれたら、い~いことが起こるんだな、これが。」


「・・・。」


考えた。
もしや、もしや、これは・・・

だって、白馬といえばやっぱり


王子様じゃないのか?


俺はもしかして誰かの王子様になるのか?


こりゃ、期待できる!
こんどこそ期待できるぞっ!


でもなあ、声が目玉親父だしなあ・・・
ど~しよ、ど~しよ。

乗ったらどこに連れて行かれるんカナ。

ん~・・・どっかの九十九里みたいな、でか~い海原の広がる砂浜に連れてかれるんだきっと。

波打ち際にぽつんと、一個の岩。


その上に腰かける女の子。

左手で体を支えて、首の中ほどまでの髪を風に遊ばれないように右手で押さえて。
少し眩しそうに繰り返す波を見つめて微笑んでいる。

来た来た来た(^お^)


俺に気づいた彼女は語りかける。


「あ、デュークロッサン、おそかったのね。」


デュークロッサンっ!


見た目は日本の女の子なのに待ってたのはデュークロッサンっ!


なにじんだ?なにじんだ?

おれ、なにじんなんだ?


どうでもいいや、どっから出てきた名前だかわらんね~けど、とにかく俺はデュークロッサンだから、返すんだ。

「君の眩しそうな横顔を見つめすぎたよ。そしたら気付かせてあげるのが遅くなっただけさ。」


なんつって、なんつって。く~~~~(><)ノ


「やだなあ、またそんな恥ずかしくなるようなことを涼しい顔で。」


俺は「ふ」って笑って彼女の隣に腰かける。
彼女は聞く。


「今日はキスはしてくれないの?ラブラブ


てさ!てさ!
そんで俺は言うんだ。


「だめだよ。今は。」
「どうして?」
「今の君に熱いキスなんかしたら、僕のときめきで、きっと世界中が燃え上がってしまうもの。


きゃ~叫び

とか言ってよ。とか言っちゃってよお、おい!


「恋とは1分、1秒、どんな時でも隙間なく心臓が鼓動をうっている。ときめいているものなんだって、シェイクスピアは言った。
今のあたしがそれ。

だから、宇宙が炎に包まれてしまうかもね。」


だってよ、だってさ!はははは。


「それはまずい。」


なんだ?なしてまずいんだ?


「どうして?」
「君のときめきのせいで僕は跡かたもなく焼かれてしまう。そうしたら、君を抱いてあげられなくなる。」


なぬ~?なぬ~?そおおかあ、そら~、まずいぞ。
さあ、彼女、どうするよ、おい!


「じゃあ、そうならないように、そおっとキスしてね。ドキドキ


って微笑んでええええええええって、うっひょ~~~~~!
くひ~~~~~~(><)ノ))☆ばんばん


ま~じで恥ずかしい~~~!o(*><*)o


ぶし~~~~~。よだれが・・・、よだれが・・・。
照れちゃうなあ、照れるよ。


そおおおおおっと、顔を近づけて、おおおおおおお!
ピピ、ピピ、ピピ、ピピ

と、ここで目覚まし時計ですね。

飛び起きて、撮影の待ち合わせ場所へまっしぐら。

寝過ごしかけた。


着いてみると、なんと、ぐ、ぐ、ぐ、偶然のなせるわざかあ?
こ、こ、この公園はああああ!
夢のあの場所だ!


まさか、まさか?

いない!いないぞ!
馬なんかどこにもいない。

「わしを捜しとる?もしかして?」

「?あんた白馬?」


青い木馬がいた。


「なんでそんなかっこ?しかも木じゃん?」

「いやああ、すまん、すまん。おんしの夢の中にいる間になんか吐き気がしてきてな。青ざめた。」


なんだと、このやるおおおおお!
あの美しい夢にケチをつけるたあ、どういう了見だ!


「じゃ、なんで木なんだよ。」
「いや、単純にやる気なくした・・・。あんまり盛り上がってたもんで、待ってたら、吐き気はするは、青ざめるは。
 さっさと乗ってくれればよかったが、盛り上がりすぎて時間切れだ。」

「じ、か。ん、ぎ、れ?って?」

「そうだなあ、元々大したとこに連れてく予定じゃなかったし。あんなドラマあるわけないしの。命拾いしたな。」

「命拾い?」

「ん。その財布に入ってるコンビニのレシート、招待状だったけど、もう要らんから捨てといてな。」
「へ?」


財布を開けると、夕べ買った時に出たレシートが一枚。
そうだ、買った金額の合計「666円」だった。


「さすがに、アホは連れてくんなって怒られた。」

「誰に?」

「悪魔さん。」


でえええええええ!
俺連れて行かれるとこだったのおおお?

どこに?どこに?


「じゃな、」
ってそれっきり青い木馬は黙った。

「・・・。」


いんだか悪いんだか解らずに俺は立っていた。


連れていかれてたらどうなってたんだろ?

いざ行ってみたら、やたら激しいボンテージみたいなの着た悪魔の女王かなんかがいたりして。

「お前を婿とする。今からちぎりを交わす。世界はわらわとお前のものだ。」

とか言われて、


なぬ~?そらすげえええ。

うほお、うほお♪


魂の葡萄から作ったワイン風呂に入って、哀しみの涙の滝に打たれて、すっげ~美人ばっかの侍女がいっぱいいて、体ふきふき隊とか言って、

からっだ、ふっきふっき~、ふっきふっき~♪

その後女王の待ってるベッドにずど~~んて飛び込んで、



「せかいだ~!せかいだ~!」って俺。

「かも~ん、かも~ん!」って女王。



ぶし~~~~。
よだれが、よだれが・・・。



「おい・・・」と木馬。


「あが・・・?」よだれたれたまんまの俺。





さげすんだ眼でじっと見つめる青い木馬。



「・・・すいません。」

じゅる。


やがて木馬はぴょこん、ぴょこんとどっかへ行った。


で・・・


俺はなにしにここに来たんだっけ?


お~い。

それもそうだけど、子供が乗るのがなくなるぞ~。


J’s Coffee Break Station-青い馬


はい、ドンと晴れ。



新宿歌舞伎町。

さくら通りの中に、大好きなJAZZ BARがあるんですがね。

女友達と飲みに行くんで、予約してあったんです。
で、ここは有数の風俗街なんだけど、結構まともな良いお店も並んでる。


さて、待ち合わせの後、店へ向かいました。

信号は赤シグナル。

青になると二人しゃべりながら信号渡りきった。


さあ、さくら通りに入ったぞ。


突然!


「あれ~?」




って向かってくるオヤジが一名。
知り合いかと思った・・・



「今日、おっぱいドキドキじゃないの~?」


もう・・・

何かと思ったよ!(´Д`;)。


本人の前でマジでガックしズッコケたもの。


呆れ顔で苦笑いしながら
「違う、違う。」
って歩きだした。


予約の時間まで後5分。

店はもうすぐ目の前。

時計見ながら足を速めようとしたその時!




「ち~なみに~。」




って、手を伸ばして遮ってくる男。
びっくりして目を合わせたらいきなり






「今夜は、どの乳首~?」





これは笑った(^o^;)。

いきなり「ち~な~み~に~。」って、何もちなんでないじゃないかさ(爆笑)

「いや、いらないっす。」

って言ったら、次が又爆笑。

連れの女の子、観ながら


「ああ・・・乳首いるもんね、いるもんね。今夜はその乳首ね。」


って真剣に納得した顔して(ホントかよ)、次のハントに離れていったけど・・・


この底抜け具合はやられた。

ついて行きそうになったも(  ゚ ▽ ゚ ;)。


女性同伴なのに、お構いなしなんだものさ。
さすがに連れの子も

「あれはつられるね。あんた、あたしいなかったら行ったでしょ!」

って店の中で笑いが止まらなったす。


行きませんって(^^;)

なんか、実態はわからないけど、随分楽しそうに誘うようになったんだなあ。

変わったな、ポン引きも。


・・・


でもその裏、昔の身売り的なものが又横行してるらしいから怖いのは怖いよね。
くわばら、くわばら。


ち~な~み~に~、この子はほんとに友達っす。

異性関係ないっすから、この夜の乳首ではなかったすよ(^^;)


J’s Coffee Break Station-さくら通り


はい、どんとはれ。

あんな恐ろしい事件がこの世に二度と起こっていいはずがありません。


明日は舞台の役が決まり、脚本が渡される。
そのまま本読みだ。
どんな役がくるんだろ・・・。
とりあえずは公園で発声練習だ。


「あ~。あ~。」

軽く声出しながら公園のそばまでくると、ブランコが揺れる音がする。

遠くから見た感じでは誰も乗っていない。


「風はやはりふいてねえ・・よな。」


けれど、


きぃぃぃぃぃぃ・・・

きぃぃぃぃぃぃ・・・


不審に思いながらも冒険心に駆られ公園へ足を踏み入れた。

ブランコの傍まで来た、その5秒後、足元に霧が湧いてきた。


きぃぃぃぃぃぃ・・・

きぃぃぃぃぃぃ・・・


相変わらずブランコは動いている。


湧いた霧はいつしか俺の身の丈ほどまで上り、視界を真っ白に阻むようになった。


「まずい。早く帰らなくちゃ。なんか変だ・・・。」

総毛立った。
吹きだす冷や汗。
振り向けども視界を阻まれた周囲は白いままだ。
どこへ向いたらいいんだ!?


そこに、ゆらりと影が浮かんだ。


少し小さめの、なにか、人のようではない。

影はふわふわ霧の中をすべるように近づいてきて、目の前に止まった。


走る悪寒。


「俺はお前だ。」


影が小さく呟いた。


「?」


「俺はお前だ。」


何いってんだ?
そう思いながらも声が出ない・・・。


「ふふふ。」

愉しそうに影は笑う。


ゆらり。


又影は数十センチ近づいた。

その刹那、風が吹き霧を追い払った。


「ひゃあああああああ!」


その姿を見た俺は叫んだ!


人面っ!」



「ふふふふふ。」
奴は笑った。

「それに・・・・お・・・お・・・



俺の顔だあああああっ!




J’s Coffee Break Station-人面犬



俺の顔を持った人面


それは明らかに変だった。
なんか変だった。
どうにもこうにも変だった。


俺の顔を持った

しかも、体は・・・

なんでプードルっ!?

よりにもよって俺の嫌いなプードルっ!?

プードルだよ?プードル!


プードルが人面になるとバッハみたいだったんだ・・・


などと驚いている場合じゃなかった。


「な、なんで俺の顔を・・・。」


「ふふふ。」
笑いながら奴は言う。


「お前のドッペルゲンガーだからだ!」


「ど・・・ドッペル・・・?」


いや、ちがう!

人面、人面
しかも、俺顔バッハの人面


「俺は・・・お前の未来を映し出す者だ!」

「そんな・・・そんな・・・・
うそだあああああああああ!
なんの未来だよ!

バッハになんのかよ!プードルになんのかよ!

俺はバッハになんかならね~だろ!」


そりゃ、いいよ。バッハんなって、べろべろべろ~ってピアノめちゃくちゃ弾けたら、そらいいよ!

でもそれよりプードルってなんだよ、プードルって。


プードルになんかならね~だろ、普通よお~~!

いつ生まれかわんだよ!


声を限りに叫んだ!


プードルはやだった。


プードルになんかなりたくなかった。


プードルは本当にいやだ。


プードルのボワボワがいやだ。


骨に申し訳程度に貼りついたボワボワっ!


あれがとにかくきらいっ!

あの

生き物だか、

おもちゃだか、

肉だか、

骨だか、

綿だか、

暑いんだか、

寒いんだか

意味の分かんない姿がいやなんだもの!



ちゅか、それよりお前、バッハだ!バッハ!



バッッッッッ・・・・・ハッ!


まるで、


アッッッッ・・・・ガイ!

みたいな。



自分でもよくわかんね~けど、でも、そりゃだみだよ~。
バッハアッガイもだみなんだ。だみなんだってばよ~(ToT)


「ふははははははは!驚いたか!

これがドッペルゲンガーだ!

ふひひひひひひ!恐ろしいかっ!」


ふははははじゃね~よ。


違うよ。おまえは人面犬!

ドッペルじゃないの!

恐ろしいのは勘違いして、変なお告げをしに来たお前の認識力だよ!

バッハプードルだああああ。

バッハがやだけど、プードルだからほんとにもっとやだああああ!

ふひひひひひ、じゃね~よ。


ぜんっぜん可笑しくない!
ぜんっっっぜん可笑しくないもの!


ちゅか、俺の顔、こえ~よ!


なんなんだよ、お前はああああ!
あっちいけえええ!


もう、駄目だ。
俺、壊れたよ。俺、壊れちゃったんだよね?ね?
壊れちゃったよ。


俺は逃げた。

力の限り走った。

涙の限り泣きながら。


走って、走って、部屋に飛び込んだ。

何がなんだかわからずにうずくまった。




そのまま寝たらしい。
目を覚ますと既に窓の外は小鳥のさえずり。


「夕べのあれは、一体・・・。」


混乱した頭を整理も出来ず、シャワーを浴びると稽古場へ急いだ。


渡された脚本。
キャスティングが一人づつ名前を呼び、役を伝える。
そして。


「え~、J君!バッハの肖像画。」

「へ!?バ・・・・ハ?」


「肖像画。」


「な、なんすか、それ・・・。」
「肖像画だよ。ハナ肇みたいにやってね。」


「あの、校長先生の銅像・・・みたいに・・・すか?」


ポンと渡されたウィッグ。


「そうだよ。そのウィッグ・・・」


演出家はニタ~と笑い


「プードルのぬいぐるみ分解して作ったんだ。
良くできてるだろ♪」


ぎ・・・ぎょえええええええええええええええ!


気絶した俺は病院へ運ばれた後、その舞台は降板した。

それからというもの、稽古場には幽霊が出ると噂が広まり、役を渡されると悲鳴を上げて気絶する役者が続出したので、公演は中止となった。
なんでもその姿はバッハだとか、プードルだとか・・・。


あの演出家、一体何人に肖像画やらせようとしたんだ?
小学校の発表会で「月」とか「わかめ」とかやるのと変わらんわけだろ?


どーでもいいけど、あのプードルの目的が一切わからん。



とにかくあれ以来、ブランコには近づいてない。
プードルにはもっと近づいてない。
バッハがかなり怖くなった。



はい、どんとはれ。








プードルのブリーダー様、もしくは愛好家様、申し訳ありません。
本当はプードル好きです。
フィクションです。



あれは世で言う、丑三つ時だったでしょう。
何かの物音で目を覚ましました。

静まり返った部屋。

デジタル時計の文字盤だけが、うっすらと青く闇に浮かんでいました。
まるで、真夜中にうごめく何かを狙うかのように、ぼうっと。
何故か、掛け布団がひんやり、温まる気配がありません。

ひっそりと時間が数分過ぎました。
やがて、静寂に紛れるようにその音は聞こえてきました。

窓にかかる半開きのシェード。
月はその隙間から、何枚もの光の板を床に突き下ろしていました。
やわらかいその幾条もの光を縫うように、小さなその音は流れてきます。


べんべんべんべん~~~~・・・♪
べんべんべんべん~~~~・・・♪


「なんだ?」


べんべんべんべん~~~~・・・・♪


外から聞こえる。


光の束の中に立ち、じっと動かずにいると・・・


べんべんべんべ~~~~ん・・・・♪


ベランダに出たけど、辺りを見渡してもだれも出てこない。
うるさくないのかな?


見ると・・・

すぐ傍の琵琶の木。もう、実が黄色に成熟する季節。
その中で、ある枝にぶら下がるたわわな実の一つが光に包まれているじゃないですかっ!

おおお!ふぁんたじ~!ドキドキ


聞こえる音はその中から!


べんべんべんべん~~~♪


間違いない!話かけてみます。


「おま・・・」

べんべんべんべんべんべんべん♪

おまえなんだ?と言おうとして、

「おまえ・・・」
と言いかけると
べんべんべんべんべんべんべん♪

「いや、だから・・・。」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「あの・・・」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「なん・・・」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「あのよ・・・。」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「ちょ・・・きけよ・・・
べんべんべんべんべんべんべん♪
「きけったら。」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「きかね~のかよ!」
べんべんべんべんべんべんべん♪
「こら~~~~~!」
べべべべべべべべべべべべべべべべべべんべんべんべんべんべんべん♪

「うるせ~~~~~~~~っ!」

べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ

「・・・。」

べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ
べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ


(--

「よ~~~お♪」
べん♪


・・・・・


・・・
「よ~~~お♪」
べん♪


「よ~~~~・・・」
・・・


「お♪」
べん♪


(ーー;)


「なに?」

・・・

「さびしいの?」

・・・べん♪

「遊んで欲しいわけ?」

・・・・

「そうなの?」

・・・べん♪


「おまえ、琵琶法師か。」

・・・べん♪


・・・


・・・


「寝ろ。」

・・・べん?


「寝ろって。」

・・・


「寝ろ!」

べ・・・べ・・・

「泣くな。寝ろ!」

べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ
べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ

「うるせえっ!泣くなこのやろ!もぎって食うぞしまいにゃっ!」

べ・・・

「おびえんなよ!妖怪じゃね~のかよ、おまえ!」


べ・・・


・・・


「もういい。」

べん?

「・・・」
・・・

「寝ろ。」

・・・べ・・・べん


明日も普通の仕事ですから。
そう言って布団に入ると・・・


べん~~~~・・・


べん~~~~・・・


怒り心頭です。
窓へ行き、ガラっ!と開けました!


べ・・・!?


「泣いてないで寝ろ。」


・・・


「最後だ。寝ろ。」


べ・・・べん・・・


うっすらと、琵琶の実を包む光は消えていき、やっと世界は静寂に包まれました。


琵琶法師のお話でした。

はい、どんとはれ。

J’s Coffee Break Station-琵琶法師