炎天下の渋谷。
猛暑というより射す暑さ。
ひえええええ・・・
痛い・・・
うだる・・・
街中の色んなものが反射して、それでなくても眩しいのに、余計に目がくらむこともしょっちゅう。
人ごみは苦手だな。
でもこんな中、交差点に立ってると、瞬間、音が消えることがあります。
そして・・・
サラサラサラ・・・
ゆっくりと時間が流れていく音がします。
サラサラサラ・・・
ゆっくりと、ゆっくりと。
街角でこんな時があります。今日もそうでした。
人は山ほど、売るほどごみのようにいるのに。
車の往来が激しい信号なのに。
世界がスローモーションになります。
サラサラサラ・・・
音に酔いしれていた時です。
「喝あっ!」
「@o@/ ☆◎み△Ε※っ!?」
・・・
あ~~~、おどれ~た~・・・
誰かが、叫んでいった?
女?男?電子ボイス?高音?低音?人の声?????
見渡したけど、往来の人たちは何もなかったみたいだな。
誰あ~れも、驚いてないぞ。
ふ、と向こうを見ると、交差点を渡る人の頭がゴミゴミ流れていく中に、でかい青い花が浮いてるのが見えました。
「なんだ、ありゃ?」
誰かがかぶってるんかいな?
バルモン(デジモンのキャラクター)みてーだな?
あっちは、トロピカルな花だ。
けど、こっちのあの花弁・・・どっかで・・・
ぼーっと見つめてると、
「喝あっ!」
「ぶげっ?」
今度は逆の耳側でやられた。
みると、やっぱり花が歩いてく。
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
「喝あっ!」
連続でやられた。
もう、耳が
きいいいいいいいいいいいん・・・・て。
そのたびに花が歩いてく。
そのたんびに
「ひ!?」
「おわっ!?」
「ほぎゃ!?」
ておれもバカ。
全っ然、慣れないの。
その後何度も何度も。
誰かが頭に載せて歩いてるんか?
俺の友達、デパートなんかでアンパンマンやってんですよ。
(あ、悟空もやってます。関係ないスけどね(^▽^;))
あの着ぐるみ作る現場にしばらくいたことあるんすけど(これも関係ないスけどね(^▽^;))、あんなんスかねえ。
帽子紐みたいなの、顎にくくりつけてんスよ、きっと。
こんの暑っっっっついのに?
紐のとこが汗疹で赤くなるでしょっ!
やめなさい!意味無いから!
しかも集団ださ、集団っ!
う・・・うわ・・・
どんどん、増えてく。増えてくで~~~。
みんなして
「喝あっ!」
「喝あっ!」
って。
街の人達は気付かない?
それとも知って知らない振り?
え?え?
どんどん、青くて、でかい、でかい花達がワラワラ、ワラワラ。
お、おろ?おろ?
みんな・・・通り抜けてく・・・
つまりは・・・
見えてない?
ちゅか、なんだか、最初から胴体が見えてなかったような気もするんだけど?
ついに一帯が真っ青なお花畑になりましたス。
どえええええ?
なんてこっちゃ!なんてこっちゃ!
渋谷が浸食されてくで~~~~~!
いんか?いんか?こんなんでいんか帝国!?
↑無視してください・・・
しかも、花ごときに~~~?
花だよ?花っ!
花・・・
花・・・
・・・
「あ・・・あれ・・・?」
束で、山盛りになった時、やっと気づいたんです。
「・・・紫陽花・・・。青紫陽花だ・・・」
Jの実家の庭にはでっかい花弁をつける青紫陽花が咲くんス。
そのブロックだけは超でっかいんです。
他のブロックはみんな普通の大きさなんすよ?
あれだ・・・。
なんで?
あ・・・
思い出した・・・
あれは昔俺が買った花だ。
母の日に送ったんだ。
梅雨時になると訊いたもんです。
「紫陽花咲いてっか?」
「うん、お前の紫陽花は今年も大きいの咲かせたよ。いっぱいだ。」
「そか・・・。強い花だな、ありゃ。母の日セットなのにな(笑)」
「ああ、強いよ。」
俺の紫陽花だったんだ。
若いころは、天皇陛下でも、大統領でも、ウルトラマンでもなれる気がしてたスよね(^^;)。
それが、いつからか自分の中の小ささにだけ気を取られるようになった。
ちっぽけな自分を思い知らされた時、人は弱さを身につけてしまう。
そんな気がするス。
あの青紫陽花は花言葉なんかとは全然関係なく、ただ強い。
そうなんだ。
強けりゃいい。
強けりゃいいんだ。
例え弱くっても、強けりゃいいんだ。
弱いんだから休めばいい。
休んだなら、その分走ればいい。
どうせペース配分が下手なくらいに弱いんだ。
でも、疲れて休んでる間、筋肉は補強を始めてそこだけは強くなれるんだ。
だから、又始められる。
人なんて、動物なんて、生き物なんて、意識とは無関係に本当に死ぬ寸前まで、コンマゼロゼロ数秒までアラームをけたたましく出し続けて、臨界点目前でも尚生きようとするものなのに。
あきらめてんのは意識だけだ。
メカニズムは絶対あきらめない。本当に最後の最後まであがき続ける。
そういうメカニズムなんだ。
知ってたはずなのに。
そんな簡単なこと、気づいてたはずなのに・・・。
青紫陽花が、
ぽつ、ぽつ・・・
と消え出したス。
最後のひとつが消えた時、一瞬無音の後、堰を切ったように街は喧騒を取り戻しました。
え、と。
何しようとしてたんだっけ?
あ、そうだ、そうだ。
なんだかわかんないけどブラブラ歩いてたんだ(笑)
帰ろ♪
シャワーでもさくっと浴びちゃって、久々に一曲作ってみっか。
ライブの準備をはじめなくっちゃ。
人気ないからいつもと変わらず数人のお客さん。
けれど、聴いてもらうんだ♪
はい、どんとはれ。